uwabami days

アーティスト活動を生業とする三鷹在住アートユニットuwabamiの日々

夜神楽で気づいた日本のアニメ力

高千穂観光 3/3

宮崎県の高千穂。ここは神が住まう町と言われております。というのも、古事記、日本書紀ある、アマテラスオオミカミや、天皇の祖先にあたる神武天皇にまつわる場所がたくさんあるのです。
今回は夜神楽について書きます。高千穂峡天岩戸神社、あまてらす鉄道については別記事に書きますので合わせて読んでみて下さいね〜! 

 

 

高千穂の夜神楽って?

高千穂地方に伝承されている神楽は、天照大神(アマテラスオオミカミ:高天原を治める太陽の女神)が岩戸に隠れてしまった時、岩戸の前で天鈿女命(アメノウズメノミコト:芸能の女神)が面白おかしく舞ったのが始まりとされているんだとか。平安時代からずーっと踊り伝えられている貴重な重要無形民俗文化財なんですって。すごい伝統ですね!
しかもこの神楽、本当は徹夜で踊るんです!
毎年11月の末から2月にかけて各村で33番の夜神楽をし、秋の実りに対する感謝と翌年の豊穣を祈願して夜を徹して踊るそうです。昔の人って本当になんでこんな不思議な伝統を作ったんでしょうね〜!今はスピーディーな時代なので徹夜でずーっと神様のために踊るなんて考えられない!

徹夜で鑑賞するわけにもいかないので、高千穂の観光用の神楽では4つの舞を毎日舞っています。その4つを見ていきましょう!

1 手力雄(たぢからお)の舞

天照大神の隠れ家を突き止めるため、静かに音を聞いたり、考える仕草を表現している舞だそうです。色々調べていたら、どうやらこの日、面の色が違っていたのかもしれません。普通はこのシーン、白いお面なんです。毎日やってるとこんな事もあるんですかねー?

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この手に持っている赤と緑の紙でできたフサフサは幣というものだそうで、緑幣の山冠は天と水とを、赤幣の横冠は地と土を表しているんだとか。
あと、気になった人もいるかと思いますが、この会場全体にぶら下がっている切り絵も「彫物(えりもの)」といってちゃーんと模様にも意味があるんですって!
詳しくはわかりませんが、何だか綺麗ですよね〜。

 

2 鈿女(うずめ)の舞

出ました!元祖踊り子、エンターテイナーのウズメさん!
目的達成のためなら脱いでもいい!という大胆な神様です。
天照大神の興味をひくため、なりふり構わずダンスを踊り、八百万の神様を笑わせ、場を盛り上げた女神です。
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実際に神楽で踊ってらっしゃるのは男性ですし、脱がれても困りますし、神楽内では脱ぐ事はありませんのでご安心ください。
でもちゃんと指先の仕草とか女性的でしなやかなんですよ!

 

3 戸取(ととり)の舞

天照大神が隠れているところがはっきりしましたので、力の強い手力雄さんが岩戸をぶん投げるというダイナミックで男性的な舞です。
ぶん投げた岩は長野県までぶっ飛んで行ったそうですから、相当のパワーですね!
先ほどのウズメさんの舞と比べると男女の差がはっきりと動きで表されています。

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出た!!TA KA CHI HOポーズ☆
このポーズにどんな意味があるのか超気になりますね!
なんなんだろ〜!

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重たい岩を長野までぶん投げまーす☆

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確かにこっちが赤い面の方が力が入って見えていいですねー。
観光協会の人、間違えたのかな?

 

4 御身躰(ごしんたい)の舞

別名を国生みの舞というそうですが、最初の男女の神様、イザナギとイザナミが酒を作り、お互いに仲良く飲んで抱擁し、イチャイチャするという夫婦円満を表した舞。

この舞は参加型でして、観客のところへ神様が降りてきて、浮気をします。
夜通し踊る神楽で眠くなった人々を起こすような「目覚まし神楽」とも言われているんですって。

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酒を飲み合う二人。仲よさそう〜!

 

 

客席に浮気しに行ったイザナミを探すイザナギ。

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 見つかって

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連れ戻される。

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この後イザナギも浮気しますが、結局二人とも舞台に戻り、
仲直りのポーズ☆
写真を撮れとジェスチャーしてくるのも面白いですね!

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神楽は日本のアニメに通じる!?

私は初めて神楽を見ましたが、とてもとても面白かったです!
能面は怒っているようにも笑っているようにも見えるとかいいますが、お面をつけているので表情が全く変わらないし、セリフが無いのに、動きや仕草だけでキャラクターを出しているところが本当にすごい!
大げさな身振りや仕草をしているわけではなく、腰の高さや首の傾きなど、絶妙なバランスが心情を表しています。
音楽はあまり抑揚がなく、主に太鼓と笛ですので、これは動きだけでストーリーを伝えているようなもの。
要素が少なくても、キャラクターを感じさせるという神楽は、日本人がアニメーションを作る上でとても面白い関係があるような気がしました。
抽象度を上げると人は感情移入しやすくなるということにも関係が深そう。

また、勝手な想像ですが、日本は島国で比較的平和だったから、身近なものを観察する心の余裕があったのかもしれないですね。そうして眺めていると、八百万の神が様々なものに宿っている、すべてのものに魂がある、と感じて、アニメーションの発想も自然と生まれてくるような気がしました。

 

夜神楽の時間と料金

高千穂の観光用の夜神楽は
毎日20:00から21:00で席は自由席(っていうか床。)予約はできません。
早めに行って前の方の席を陣取るのもありですね。座布団とか持っていくとさらに良いかもしれません。

料金は700円です。

場所は高千穂神社境内の神楽殿です。

 

ホテルからの送迎もあったりするみたいなので、見たことの無い方は是非一度ご覧ください。とても面白いですよ!

 

 

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