uwabami days

アーティスト活動を生業とする三鷹在住アートユニットuwabamiの日々

スラヴ叙事詩、圧巻!ミュシャ展行って来ました!

大きいのは作品じゃなく祖国と平和への愛でした

2017年3月8日(水)から6月5日(月)まで国立新美術館で開催中の「ミュシャ展」に行ってきました!

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スラヴ叙事詩。ミュシャが晩年制作した20点の大作。前評判で、「メチャでかい絵だ」と聞いていましたが、サイズの問題じゃなかったですね。もう、はらだは何度か泣いちゃうかと思いましたよ。あれは人が少なかったら多分泣いてたな。

感動します。震えます。

歴史って未来なんだと思える作品群です。

そして、、、上手い!!!

当たり前かもしれないけど、絵が上手いんです。ラインが美しい。光の色彩が美しい。もうはらだのような練習不足な人間は平謝りしたくなるくらい上手いですよ!

確かに目が強く、キャラクター感あるから絵画というよりイラストっぽい印象あるけど、スラヴ叙事詩を見たら今までのミュシャのイメージがだいぶ変わりましたよ!

 

ミュシャといえばアールヌーヴォー

皆様、この絵は見たことあるんじゃないでしょうか?

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ね、この装飾的でくるくるしてて、植物モチーフが入っている美しい繊細な絵。

これが皆様のミュシャのイメージではないでしょうか。

私もこのような装飾的で構成の美しい繊細なミュシャの絵が好きだし、よく知っているつもりでした。パリのアールヌーヴォー様式といえばミュシャ。ポスターをたくさん描いているイラストレーターのイメージでした。

 

ところでミュシャって何者なの? ムハ?

正式な名前はアルフォンス・マリア・ムハ。ミュシャはフランス語読み。チェコ読みではムハなんですね。
ざっとその生涯を見てみましょう。

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1860年、オーストリア領モラヴィア(現チェコ東部)生まれの男性です。

初めての絵は13歳のときの聖歌集の表紙。若い頃から絵が好きだったんですかね。

18歳、プラハの美術アカデミーを受験するも不合格。でも舞台装置の工房で働きながらデッサンはせっせと続けていました。

20歳、母が亡くなり21歳で無職。22歳で肖像画を描いて生計を立てることに。若いのに大変だな!

27歳、スポンサーに助けられパリのアカデミーに入学。よかったね、絵が学べて!

29歳、突然スポンサーに支援を打ち切られ、挿絵で稼ぐ生活スタート。苦しくても絵を描き続けた涙ぐましい努力!

35歳!パリの大女優サラ・ベルナールを描いたポスターで一躍有名に!
衣装デザインや店内装飾。万博の建築とか水上劇とか構想だけで実現しなかった事も多いですが、とにかく色んな事に挑戦!

43歳、未来の妻となるマルシュカと出会う。マルシュカはミュシャの生徒だったらしい。

49歳、娘ニューヨークにて誕生。アメリカ人投資家の賛同を得てスラヴ叙事詩の制作開始。

54歳、第一次世界大戦勃発。

55歳、息子誕生。

58歳、チェコスロヴァキア共和国建国のための切手や紙幣のデザインを無償で行う。

68歳、プラハにて19点のスラヴ叙事詩を展示。約20年かけて描いたスラヴ叙事詩ということになりますね。こりゃあ大作だぁー!

78歳、肺炎に。そして第二次世界大戦勃発。ゲシュタポに拘束されたミュシャは尋問後釈放されたが肺炎が悪化しプラハで死去。

 

平和主義で、フリーメイソン。
好奇心旺盛で、真面目な人だったのかな。
もっともっとミュシャについて知りたくなってしまい、買いました、図録! f:id:uwabami_jp:20170524182750j:image

まだ数ページしか読んでませんが、すでに面白くてチェコ行きたいです笑
そしてスラヴを愛したミュシャを知ると、なんだか日本についてもっと知りたくなりましたー。

 

同じものを見る感覚

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個人的にこの作品でじんわりしてしまいました。これはスラヴ叙事詩の中のロシアの農奴制廃止の絵です。
昨年ロシアに行ってロシアをほんの少しお勉強したはらだにとって、この絵はなんだかじんわりしました。

ロシアのブログはこの辺りをご覧くださいませ!

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霞んだ聖ワシリイ大聖堂を見ると、「そうか。ミュシャも私も同じ赤の広場で同じ大聖堂を見たのだなぁ」となんだかしみじみしてしまいました。100年以上差がありますけどね!

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農奴制廃止が他のヨーロッパより遅かったロシアは、貧富の格差も激しく、取材に行ったミュシャは驚いたそうです。

突如自由になったと知り呆然とする農奴たちは、今まで信じていたものが覆され、拠り所がなく、不安で彷徨うような感覚になったのだろうと思います。

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歴史が大きく動くときの民衆は、ただその流れの中で呆然とするのかな、と想像しました。

ミュシャはこの絵をロシアへのエールとして描いたようです。そしてこの絵を描いているとき、ミュシャはオーストリア、ハンガリー帝国の秘密警察の監視の元描いたとか。
監視されながら絵を描くなんて、なんかもう想像の範囲を超えている!!!

 

生きている間に公開しなかった作品

そう。ミュシャが生きている間は公開しなかったスラヴ叙事詩の「スラヴ菩提樹の下でおこなわれるオムラジナ会の誓い」という作品があります。

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愛国心に燃える若者たちの団体オムラジナの集まりを描こうとしたそうですが、未完です。
様々な意味が込めたれたこの絵は共感も多く得られるかもしれませんが、批判も確実に生むものだと気づいていたミュシャは、あえてこの絵を完成させなかったのかもしれません。愛国心をあおる危険人物として見られれば、もう絵が描けなくなるかもという時代の気配を感じていたのかも。。。

 

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奥にいる人の仕草はヒトラーへの敬礼に見えそう、とか。描き込みもないし、明らかに未完ですね。
手前のハープの女性はミュシャの娘さんがモデル。

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こっちの裸の少年は息子がモデル。未完だとザクザクと描かれていて興味深いですな。

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「はーい。お疲れさん。」もみもみ・・・
「あー。そこ。気持ちいいわ〜〜〜〜。」
「いいわ〜。目の疲れがとれるわぁ!」

これ、頭をマッサージしてるように見えません?

 

ミュシャが真面目な人だったのかな〜と感じたのは、作品の中の人物にあまり笑っている人がいないからです。ポスターや挿絵も妖艶さ、清楚さのある女性の仕草はあっても、滑稽さ、ふとした優しい表情や砕けた表情などはあまりないなーと。

どこか凛々しく、力強く、シンボリックな仕草やポーズが多いです。
目力を感じるものが多いし笑
それゆえにメッセージが伝わりやすいのかもしれないですね。
でもちょっとした遊び心もあったらなぁーと思っていたのでなんだかこの表情にホッとしました。

 

ミュシャ展、おすすめです!

もう全部の作品を語りたいくらいですが、キリがないのでやめておきます 笑
この展示で夢がまた一つ増えました。チェコで生のミュシャ壁画を見たいぞ!
ミュシャ展は6月5日までで会期は残りわずかですが、行ってない方は是非!かなり混んでますが、私はおすすめします!朝一でチケット持っててもこの行列でした笑

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音声ガイド520円もなかなか良かったですよ!
モルダウが流れてくると泣けてきます!!

よーし!uwabamiもがんばるぞ〜!!!